| カマキリのなかま |
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このなかまの幼虫は、若虫とよび、成虫(親虫)とほぼ同じ形で成長し、翅が伸び、体が大きくなっていきます。蛹(さなぎ)の時期がありませんので、こういう成長を不完全変態といいます。これらのなかまはチョウやハチのなかまと違って、若虫も成虫と同じ肉食性のハンター(hunter)です。
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写真15、ハラビロカマキリ
10月、自宅 |
写真16、ハラビロカマキリ
11月、落合中央公園 |
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■ハラビロカマキリ(親虫)
私の家の庭はウメやトウネズミモチなどの木の下に草花も植えますが、野草もよくはびこって雑然としていますのでよく虫たちがやってきます。秋の半ば、フヨウの枝にとまってそろそろ子孫をつくる準備をしているのでしょう(写真15)。いまは仲の良さそうな姿ですが、交尾の終わった雌は雄を食べてしまい、産卵に備えます。翅の中ほどにある1対の白い斑点が唯一のアクセサリーです。
秋も次第に深まっていきます。雄としての役目を終えたら、しっかりした卵を産んでもらうために、いずれなくなる命、雌にというより、子孫のために提供します。これは犠牲になっているというよりは、献身とでもいえる行動。人間と違って戦争など起こして無駄に命を奪うことはないのです。
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写真17、ハラビロカマキリ
10月、狩口台3 |
写真18、ハラビロカマキリの卵のう
10月、狩口台3 |
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写真19、ハラビロカマキリのふ化
6月、狩口台3 |
写真20、ハラビロカマキリの若虫
6月、熊内町7 |
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■ハラビロカマキリ(産卵〜ふ化)
時と場所のちがう写真で少しまずいかも知れませんが、写真17は栄養をたくわえた雌が産卵をしているところです。
産んでいるときの卵のうの色は青粘土の色ですが、しばらくたつと褐色がかってかたくなります(写真18)。この卵のうとよく似たチョウセンカマキリのは灰色でもっと細長いので区別できます。
卵のうの着いている杭(くい)にピントが合ってしまってよく分からないですが、ねばっとした細いひもをぞろぞろと引きづりながら生まれたばかりの若虫(仔虫)がたれ下がっていきます(写真19)。
卵のうからかえったばかりのものは、体のもようもはっきりしませんが、のち、このようにしまもようが現れ、腹端を上に反らせ、小集団で行動します。どうやら、セイタカアワダチソウにつくアブラムシがめあてのようです。
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写真21、コカマキリ
10月、熊内町8 |
写真22、オオカマキリ
8月、熊内町7 |
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■コカマキリ
生田川に注ぐお川に沿った住宅地の前の川ぶちに、センダングサに止まったコカマキリが、カマをたててこちらを見ていました(写真21)。前脚には黒、白、紫のもようがあって、それらがこのコカマキリのトレードマークとなっています。
木の多い落合中央公園でも見たことがあり、このカマキリは少し山がかった環境を好むようです。
■オオカマキリ
神戸の玄関ともいえる新神戸駅のすぐ南のクスノキの幹に止まっていたオオカマキリ(写真22)。ちょっと見ただけではチョウセンカマキリと区別がつかないので、つかまえて後の翅のもようを見ます。
卵のうはみそ汁などに入れる「ふ」にそっくりです。まちなかでも草木の生えるところで見つかります。
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| 註:カマキリのなかまの前脚の基節は、他の昆虫とちがって大変長い。コカマキリが前脚を上げると、白黒の紋がよく見えるので、他のカマキリとまちがうことはない。 |
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| オオカマキリとチョウセンカマキリはよく似ていますので、後の翅の短いたての斑点のようすで区別します。 |
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