キリギリスのなかま


 キリギリス、コオロギ、バッタなどのなかまを直翅目(ちょくしもく)と言います。これらは頭が大きく、噛むのに適した口を持っています。
 
 前ばねは少し厚く、硬くてキチン質です。キリギリスやコオロギのなかまでは前翅を摩擦して音を出し、バッタ類では前翅と後脚をこすって発音します。
 
 後翅(うしろのはね)は膜質で、広げると扇形となり、翅脈(すじ)が放射状に並び、止まっているときは前翅の下に隠されます。後脚は大きく、頑丈でジャンプ(jump)に適します。
 
 仔虫は変態せず、親虫と相似形で、脱皮ごとに体と羽が大きくなります。
 
 産卵管は長いものが多く、鎌型かなぎなた型です。
 
 植物性の食物のバッタ類は昼行性で、キリギリスやコオロギのなかまは夜行性で肉食性のものが多いようです。
 
 直翅目は日本に200種類といわれ、鳴く虫が多く、昔から日本人に親しまれてきました。



写真28、コロギス♀
8月、神仙寺通1
写真29、カヤキリ♂
9月、熊内配水場


■コロギス

 夏の朝早く、摩耶山へ登る途中、お寺の塀(へい)に止まっているところを写しましたが、光線の具合で黒っぽくなっていまいました(写真28)。羽のほかは緑色なんです。簡単なようで虫たちを写すのはなかなかです。
 
 後脚以外にはしっかりしたとげがあり、夜行性でかつ肉食です。
 
 普段は木の葉を糸でひっかけ、その間に身を隠し、長さ9cmもあるアンテナを伸ばして、飼ものを探ると言われます。
 
 どういうつもりか、このときはごらんのように鳥などの目にとまりやすい所で止まっていました。朝の日光浴でしょうか。


■カヤキリ
 よく日の当たる背の低い草地にカヤキリがいました(写真29)。雄の場合は背中に褐色のすじが走っています。真上から見ると頭は三角形になって先が少し前に突き出た感じで、前足の出ている背中の部分(前胸背)はうしろにいくほど幅が広くなり、そのふちが黄褐色の線になっています。
 
 また体の割には後ろ足が短いのが特徴です。


写真30、ヤブキリ(若虫)
5月、福住通
写真31、ヤブキリ
7月、自宅


■ヤブキリ(若虫)

 シダレヤナギの高い木の下の歩道脇には、ヒラドツツジの低い木が植わっています。葉っぱの色とほとんど変わりのないヤブキリの若虫が体の長さの倍ほどもある長い触角をゆっくり動かしていました(写真30)。
 
 体はすでに成虫ほどになっていましたが羽はまだまだ小さく、本格的な夏に入れば一人前の大きさになることでしょう。そのころには木に登って暮らすようになり、「ジリ、ジリ」とも「シリ、シリ」とも聞こえるような鳴き方で夜を過ごすことでしょう。


■ヤブキリ
 天気は快晴、朝8時、家を出て戸を閉めようとしたら、キリギリスのなかまが我が家を訪問しているのが目にとまりました。思いがけない来訪者に朝からすっかり気をよくさせてくれました(写真31)。
 
 体は産卵管の先まで6.2cm、触角は7cmのヤブキリの雌でした。
 
 玄関のすぐ前には中ぐらいの高さの木が3本植えられていますので、日ごろはこの樹上で生活していたのでしょうか。
 
 前足のひじには鋭い刺があり、肉食性の昆虫であることをよく示しています。



写真32 ヒメクダマキモドキ♂
11月、籠池通5
写真33、ダイトウクダマキモドキ♀
9月、王子公園


■ヒメクダマキモドキ♂

 ウバメガシやイブキらの植わった民家の庭先にいたヒメクダマキモドキ、体長は2.5cm、羽の先端までなら3.8cmで体はうすい緑色、アンテナの長さは5cmでした(写真32)。前足のひざ下をよく見ますと、褐色をした聴覚器(音を受けるところ)がよく目につきました。
 
 キリギリスやコオロギのなかまでは。この場合のように前脚の脛節(けいせつ)に鼓膜(こまく)を持っています。これに対し、バッタのなかまでは、腹部の第一節目に音を受けるしくみがあります。


■ダイトウクダマキモドキ♀
 9月も終わりのよく晴れた、風のない夜の8時ごろ、王子公園を通り抜けていますと、街灯の明かりにツユムシのなかまが、地上2Mぐらいのところで頭をしたに向けてメタセコイヤの幹に止まっているところが写し出されていました(写真33)。さらに、その上の方にもう一匹いましたが、雌雄の区別はできませんでした。
 
 秋の虫にと限りませんが、夜の自然観察も楽しみです。




似たものを比べる
前胸背の色 翅の長さ 前翅の
斑点
住んでいる場所 鳴き方
ヤブキリ 褐色 後脚のひざより
長い
ない 幼虫:草など低い植物
成虫:樹上など
ジリ、ジリー
キリギリス 緑または
薄い褐色
後脚のひざに
届かない
黒点が
ある
日当たりの良い
背丈の高い草地
チョン、ギース


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