バッタのなかま


 いままでに紹介してきたキリギリス科やコオロギ科のなかまと同じ直翅目のバッタ科のなかまは前胸背(ぜんきょうはい)が大きく、中と後の胸の側板(そくばん)がよく発達しています。
 
 脱皮のたびに成長していく不完全変態であることに変わりはありませんが、これから紹介するバッタ科の場合は前翅と後脚を摩擦して発声します。
 
 また、おもに肉食性のキリギリスやコオロギのなかまと違って、草食性のものがほとんどです。



写真39、ヒシバッタ
8月、青谷川公園
写真40、オンブバッタ
8月、神仙寺通2


■ヒシバッタ

 舗装(ほそう)をしていない道端をはねているのはヒシバッタです(写真39)。体を真上から見ますと、長いひし形をしています。道端などのわずかな草をたよりに生きられるのと、乾燥がちのところを好むようで、まさに都市環境にも適応していける昆虫です。
 
 脚をよく見ますと前や中と比べて、後足が頑丈で跳躍力があり、素手(すで)で捕らえるのは難しいです。


■オンブバッタ♂

 夏の庭先や道ばた、草のあるところなら、通りがかりによく見る光景です。
 
 まるで母虫が仔虫を背負っているように見えますが、おんぶされているのは一人前の雄の方です(写真40)。
 
 雌雄でこれほど体の大きさの違う昆虫は珍しいです。

 バッタにしては動作の鈍いのはみなさんもよく知ってのとおり。



写真41、ショウリョウバッタ
10月、狩口台3
写真42、ショウリョウバッタ
9月、狩口台3


■ショウリョウバッタ
(緑色型)
 メヒシバやエノコログサなど、特にイネ科の草の多いところに住んでいます。雄は飛ぶ時、前翅と後脚の擦り合わせにより「キチキチキチ・・・」と音を発しますので「キチキチバッタ」と呼ばれていることはみなさんもよく知っているでしょう。説明するまでもなく、これは緑色型です(写真41)。


■ショウリョウバッタ
(褐色型)
 もちろん、緑の草がなければ生きていけませんが、褐色型のは、緑の草の近くにある枯草の色・形にうまくとけこんでいます。動きさえしなければ、外敵に襲われることはまずないでしょう。うまくできているので感心してしまいます(写真42)。



写真43、クルマバッタモドキ
9月、青谷川公園
写真44、トノサマバッタ
11月、木幡


■クルマバッタモドキ

 公園のシダレヤナギの高い木の幹に止まっていたバッタは木の皮に紛らわしく、じっとしているときなら鳥の目をごまかすことができるでしょう(写真43)。
 
 ほかにもこのバッタの写真はあるのですが、わざと環境(背景)と紛らわしいのを紹介しました。
 
 前胸背面(せなか)にはX字形の紋があり、クルマバッタなどよく似たものと見誤ることはありません。


■トノサマバッタ
 市の「太陽と緑の道」のパトロールをしていたときです。人も車もよく通る道端でトノサマが腹端を地面に埋めて産卵しているところに出会いました。めったとないチャンス(chance)とばかり、夢中になってカメラに収めました(写真44)。
 
 私はトノサマを市街地では見たことはありませんが、草地のあるところなら見つかることがあるかもしれないと思って、郊外での出来事ですが、紹介することにしました。皆さんも調べてみてください。



写真45、イボバッタ
8月、神仙寺通2
写真46、コバネイナゴ
10月、垂水区山田川


■イボバッタ

 先のヒシバッタが跳ねているような乾いた草地や地面で見られます。体長は3cmあるなし、名のとおり体のほぼ全体に小さなイボをたくさんつけています(写真45)。

 人が近づかなかったら跳躍することもないので目立たない姿です。
 
 跳ねたからこちらも気づいたのです。いろんな生きものに出会えるなんて楽しいです。


■コバネイナゴ
 山田川の河口は阪神間の海岸部でヨシ群落の残っている大変希少なところです。また、ここには海岸植物のコウボウシバも群生しており、コンクリートとテトラポットばかりの味気ない海岸と違って緑の残る河口です。

 メヒシバなどイネ科の草も生え、そんなところだからこそ、かつてはイネの害虫だったイナゴも生き永らえているのでしょう(写真46)。ほかにエンマコオロギも。
 
 緑はすべての生きものにうるおいを与えてくれます。



写真47、ツチイナゴ(若虫)
9月、熊内町7
写真48、ツチイナゴ
5月、熊内町7


■ツチイナゴ
(若虫)
 この草を食べるのかどうかは分かりませんが、駐車場のフェンスの周りに生えているセイタカアワダチソウの葉にツチイナゴの仔虫が休んでいました(写真47)。
 
 羽はまだ生えたばかり、でもよく見てください。親虫と同じように、複眼の下に縦長の涙をたらしたようなしずく形の黒っぽい紋がついています。


■ツチイナゴ
 新神戸駅の南、道ばたのアベリヤの植木の周りに生えていたのは、このバッタの食草となるイネ科植物のイヌムギでした。かじって食べている現場写真ではありませんが、バッタのなかまの多くはイネ科の草を好むようです。
 
 眼の下のトレードマーク(trade mark)は一度憶えたら忘れないでしょう。
 
 成虫で冬を越してきましたので、ほかのバッタ類がまだ幼虫の初夏のころ、このツチイナゴだけは成虫の姿で見られるのです(写真48)。



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