峨のなかま(2)

写真95、モンクロシャチホコ
9月、篠原本町4
写真96、ギンモンスズメモドキ
8月、神仙寺通2


■モンクロシャチホコ

 幼虫は体のはしを背中の方へ反らすくせがありますので、フナガタケムシ、シリアゲムシの名があります。写真のはシャリンバイの葉にいたものですが、サクラケムシともいわれるように、サクラやウメなどバラ科の樹木の葉を食べ、市街地でよく見られます(写真95)。成虫のはねには名の通り、黒い紋があります。


■ギンモンスズメモドキ
 94年8月7日、神戸での最高気温が38℃を記録した日の翌朝6時半ごろ、自宅の近所の家の塀に止まっていました(写真96)。私が早朝登山で1時間余り出歩いたのちも、まだそのままの姿勢で止まっていましたので写真にしました。三角の白い紋が光って見え、迫力のあるガです。



写真97、キバラケンモン
10月、青谷町3
写真98、ヨトウガ
9月、自宅


■キバラケンモン

 高い木が植わっている学校の塀に沿った道の上に落ちていたのを拾って帰りました。翅を広げると6cmもあるヤガ科の一種でした(写真97)。腹は名のとおり黄色がかりです。ヤガ科のガは主に夜活動します。


■ヨトウガ
 市場で買ってきたブロッコリーの根元近い茎の中から出てきたヨトウムシ(写真98)。ほとんどあらゆる野菜を夜の間に食べますので農家の人の嫌われ者です。成虫は黒っぽい羽をしたかなり大きなガです。



写真99、フタトガリコヤガ
9月、福住通
写真100、フクラスズメ
9月、灘南通5


■フタトガリコヤガ

 フヨウの葉をかじり、円形の食べ跡を残しているのは、ヤガ科のフタトガリコヤガの幼虫です(写真99)。背に黒い紋の並ぶタイプ(type)で、ほかに赤っぽい紋のタイプとの二型があります。幼虫はフヨウのほかムクゲ、アオイ、オクラ、ワタなどいずれも庭などに植えて花を観賞する、アオイ科の低木の葉を食べますので、市街地ではよく見かけるガです。


■フクラスズメ
 道端のクサマオの葉を食っているフクラスズメの幼虫です(写真100)。そっと茎・葉を揺ると、驚いて頭から胸にかけての体の前半分を、振り子のように振り回すくせがあります。食草はクサマオのほか、コアカソ、ヤブマオなどイラクサ科の草です。



写真101、ヒメエグリバ
9月、西脇1
写真102、アケビコノハ
8月、神仙寺通2


■ヒメエグリバ

 黒い体に黄や赤の点紋を背中に並べたよく目立つヤガ科の幼虫です(写真101)。食草は生垣などにからむ、つる草のアオツヅラフジで、街中でもよく見かけるイモムシです。



■アケビコノハ
 夜8時ごろ、集合住宅の入口に立つ街灯近くの壁に止まっていました(写真102)。前ばねは枯葉そっくりです。持ち帰り標本にするとき、後ろばねを見ると黒い紋も印象的でした。

 幼虫は大きな目玉模様がありますが、市街地ではまだ見ていません。



写真103、アメリカシロヒトリ(幼虫)
8月、生田川公園
写真104、アメリカシロヒトリ(成虫)
9月、城の内通4


■アメリカシロヒトリ(幼虫)

 公園や街路樹の落葉樹なら何でも食べるという広食性の幼虫は、戦後アメリカから入ってきた害虫です(写真103)。卵からかえった幼虫はクモのように糸で幕を張り、集団で葉肉を食べ、すじだけを残します。成長と共にばらばらに分散していきます。


■アメリカシロヒトリ(成虫)
 街路樹のシンジュの木の幹に止まっている真っ白な成虫、はねを広げると3cm前後であまり大きなガとはいえません(写真104)。幼虫はこの木の葉を食べて育ったようです。ヤガ科に近いヒトリガ科のなかまです。



写真105、カノコガ
6月、神仙寺通1
写真106、クスサン
9月、熊内町7


■カノコガ

 民家の壁にカノコガが止まっていました(写真105)。はねを広げると3.5cmくらいで、黒地に白い紋をつけ、前ばねは後ばねの倍以上の大きさ、黒い胴体にオレンジ色の紋が目立つきれいなガです。


■クスサン
 新神戸駅前の歩道に沿うアベリヤの植え込みのなかで、体を休めているのは、ヤママユガ科の大きなガです(写真106)。後ばねには大きな目玉模様が一対あるのですが、今は平常時なので、前のはねで隠されています。驚いたり、飛び立つ間際には「ギョロッ」と目をむいたような模様が現れます。天敵に対し、どれほどの効果があるのか、現場を見たことのない私には分かりません。



写真107、オオミズアオ(幼虫)
9月、中落合4
写真108、オオミズアオ(成虫)
8月、神仙寺通2


■オオミズアオ(幼虫)

 車の通らない静かな住宅地の歩道脇に植えられたハンノキに、人差し指ぐらいの太さの、堂々たるケムシが目に止まりました(写真107)。

 草色の体に、腹部にある8ケの気門を連ねて白線を引き、白い小さな点紋から長い毛を生やしている様子は、ガの幼虫の観察のモデル(model)にふさわしいでしょう。頭のあるほうは右です。


■オオミズアオ(成虫)
 世界でもっとも大きなガはヤママユガ科のなかまで、そのなかでも与那国島にいるヨナクニサンは、はねを広げると30cm近くにもなり、世界で最大です。

 それに続く大きなのが、オオミズアオなどで、12cmほどにもなります。大きさだけでなく、はねの形、色も美しく、ふわふわと飛ぶ姿は、まるで天女が舞っているようで、捕まえるとき心臓の高鳴りを憶えます。
触角は羽毛状で雄でした(写真108)。

 こんな素晴らしい昆虫が山中に入らなくても見られるのですから、市街地での自然探訪も捨てたものではありません。



写真109、セスジスズメ(幼虫)
9月、脇浜町3
写真110、セスジスズメ((成虫)
8月、脇浜町3


■セスジスズメ(幼虫)

 物置小屋のふちの草むらで、コマツヨイグサの葉をかじっているスズメガ科の幼虫です(写真109)。黒装束に赤や黄色の小型の眼状紋(がんじょうもん:目玉模様)を7対並べ、背中のはしっこには、先が白い1本のヤリを斜めに突き出し、なかなか「イキ」な格好です。

 年2回の発生で、幼虫は10月の終わり頃まで見られます。



■セスジスズメ(成虫)
 標高5.4mの水準点がある、国道2号線に沿ったヒラドツツジの植え込みの間に、スズメガの成虫が休んでいました(写真110)。はねの色合いは地味ですが、全体の様子がまるでジェット戦闘機のような姿で、精悍(せいかん)な感じのガです。




■オオスカシバ

 庭のクチナシの葉を食って育った
オオスカシバです(写真111)。蛹からかえると、しばらくは他のスズメガのなかまと同じように、はねに鱗粉をつけていますが、やがてはねを振って落としますので、セミのように透き通ってしまいます。昼間、花に接近して、はねを震わせホバリング(hovering)しているところなどを見ていると、ガのなかまとは思えない活動ぶりです。



このページのPDFファイル