チョウのなかま - アゲハ

 
 市総合教育センターが出している「神戸の自然シリーズ・8」の「神戸の蝶」には84種のチョウが紹介されています。
 ここでは、市街地で見た2、3のチョウの生きている姿のひとこまをお届けします。みなさんが観察するときのきっかけになれば。



写真112、ナミアゲハ2,3令、終令幼虫
9月、城の内通5
写真113、臭角を出すナミアゲハの幼虫
9月、城の内通5
写真114、ナミアゲハ
7月、自宅
写真115、ナミアゲハ
9月、自宅のランタナの花にて


■ナミアゲハ


 幹線道路の中央分離帯の植え込みの中から生えてきたユズの枝、葉にアゲハの幼虫がいました(写真112)。
 
 黒褐色の体に白い紋が3カ所で、鳥糞状に見えるのが4令までの幼虫で、4回目の脱皮を終えると緑色に変身して、5令を迎えます。

 頭の近く(実際は胸部の背側)を軽くたたくと、ごらんのように、にゅーっとオレンジ色の臭角を突き出し、ミカンの腐ったようなにおいを発散します(写真113)。同時に黄色で縁取った黒い目玉模様(眼状紋:がんじょうもん)を大きくして、力いっぱいの攻撃姿勢をとります。

 足元の上に並ぶ白い紋は、アゲハのなかまの幼虫を区別するときの目印となります。


 蛹のかたちで冬を越したアゲハは、年に何回も発生して、4月から晩秋にかけ、次々と成虫の姿が見られます。はねの裏は黄色がかちますが、表は少し黒っぽく、夏型といわれます(写真114)。春型は体が少し小さく、表は黄色がちです(写真115)。公園などによく植えられるトウネズミモチでさかんに蜜をとっています。



写真116、キアゲハ(幼虫)
10月、住吉川
写真117、キアゲハ
4月、自宅


■キアゲハ

 5令(終令)の幼虫は、説明の必要がないほど鮮やかな色どりですが、これより若いものは、他のアゲハのなかまと同じ、黒っぽい体をしています(写真116)。食べているのは、水辺に生えるセリです。


 10月に住吉川で採取した上の幼虫を飼育しました。

 しばらくして蛹になり、冬を越して5月を前にした暖かい日に、無事に羽化しました(写真117)。さきのナミアゲハの写真と比べ、その違いを見つけましょう。


 

写真118、ナガサキアゲハ(幼虫)
10月、青谷川公園
写真119、クロアゲハ(幼虫)
9月、自宅


■ナガサキアゲハ(幼虫)

 淡路の南淡町あたりまでの南国のチョウですから、神戸では珍しいアゲハです。近年、市街地の気温が上昇しているようですから、四国あたりから北上して分布を広げているのかもしれません。生物の動静から、私達をとりまく環境の変化を知るひとつの手だてとして、見守る必要があります。

 終令幼虫の、腹部の斜め白い帯が目印です(写真118)。成虫は後ろのはねに長い突起が無いので、ほかのアゲハと区別します。


■クロアゲハ(幼虫)
 自宅のミカンの葉で育った終令幼虫(写真119)。おでこをこづかれ、目玉模様で私をにらみつけるようにして、赤い臭覚を突き出し、悪臭を吹きかける姿はなんともユーモラス(humorous)で。


 

写真120、アオスジアゲハ(幼虫)
9月、熊内町5
写真121、アオスジアゲハ(成虫)
9月、ポートアイランド


■アオスジアゲハ(幼虫)

  神戸に多い街路樹のクスノキの葉で見つけます(写真120)。ナミアゲハと同じく、市街地でもっともポピュラー(popular)なチョウのひとつ。体を真上から見て、最も幅の広くなっているところが、後胸部です。両端の突起を結ぶ、薄い黄色の帯と腹端に出た1対の小突起が、このアゲハのシンボルマークです。


■アオスジアゲハ(成虫)
 このチョウなら、だれでもおぼえがあるでしょう(写真121)。神戸で見られるアゲハチョウ科のなかまは、加藤昌宏先生によりますと11種あるそうですが、名のとおりのはねの模様は、ほかのアゲハと見誤ることはありません。
 
 幼虫の食草は、クスノキ科の樹木の葉ですが、チョウになればいろんな花を訪れます。

 写真はフサフジウツギといって中国からやってきた低木で、庭に植えられますが、荒地などで野生化もしています。



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