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■「水の中の小さな生きものたち」の扱い(提案)
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「水の中の小さな生きものたち」は、教科書では、中学1年で、4月当初に扱われる「身のまわりの生物を観察しよう」の中に位置づけられています。
しかし、この時期には多様な生物が観察できないため、生徒に感動的な体験をさせることはできないと思われます。よくある失敗は、生徒に「身のまわりの水を持ってきなさい」と指示を出し、その水を調べるというやり方をするために起きる場合が多いようです。さらに安価な顕微鏡で、何人かに1台で、適当に、「そこらの水」をもってきて見せるということでは、まずうまくいかないでしょう。
また、水の中の生物が、どのような分類上・進化の上での位置をしめているかも、まったく明らかにされないままの、単なる「微生物」としての扱いは、授業効果を考えると、得られるものが少ないと考えられます。一つの方法は、植物の進化の出発点として「水の中の小さな植物」を扱うことだと考えます。
- 単細胞のソウ類(ケイソウやミドリムシ)
- 群体のソウ類(アオミドロやボルポックス)
- 多細胞のソウ類(ワカメやアオサなどの海藻)
- コケ植物
- シダ植物
- 裸子植物
- 被子植物
これらの中には、新しい教育課程からは消えた分類群があるかも知れませんが、簡単におさえておくとよいと思います。
田んぼなどの水の中の小さな生きもののうち、これだけは見せたいと思うものは次の通りです。これらは、私たちの提案した方法で採集し、観察のポイントをまもれば、まず間違いなく見えます。
- ■植物
- ミドリムシ、ミカヅキモ、イカダモ、ツヅミモ、ホシミドロ、クンショウモ、ボルポックス、ケイソウ(ハネ、クチビル、オビ、ハリ)、ランソウ(ユレモ、ネンジュモ)など。
- ■動物
- ゾウリムシ、アメーバ(ナメクジ、ホシガタ)、ナベカムリ、ワムシ(ネズミ、フクロ、ツボ、ヒルガタ)、ラッパムシ、ツリガネムシ、タイヨウチュウ、オビムシ、ゴミムシ、アブラミミズ、ミジンコ、カイミジンコ、ケンミジンコなど。
なお、学年のはじめの方で行われる微生物の観察は、重要な観察用具の一つである顕微鏡のあつかいを正しく教えるチャンスでもあります。
意欲的に「小さな生物」を見せるコツ
- 動機づけ
- 多様な生物が確実にいる新鮮な「水」を用意する(6月〜7月)
- よく見える顕微鏡を一人1台用意する(なるべく光源内蔵の6万円以上)
- 適切なプレパラートの作り方(薄すぎず、濃すぎず)
- 適切な評価(大発見・中発見・小発見)と同定
小学校の場合、近隣の中学校にある顕微鏡を借りるとうまくいく場合があります。そういう意味で、この単元は、授業の小中連携をはかれる分野かも知れません。
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