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3.アカシ象はどこからきたのか
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黄河象 中国:科学出版社
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筋骨たくましいが、胴長短足の象というのがアカシ象の体型といえそうである。これは体に不似合なぐらいの牙を支えての日常生活ぶりからも十分うなづける。
この胴長短足型のアカシ象は、どこから来たのだろうか。この時代に日本列島にすんでいた象はステゴドン象系のアカシゾウ型のみである。その分布は関東以南の西日本に多く東北地方や北海道からは、まだ報告はない。そしてアカツキゾウ(アケボノゾウ)、カントウゾウ、アカシゾウ、スギヤマゾウ、ミツゴゾウなど多くの名前で呼ばれている。これはこの象の研究が歯の形態を中心に進められてきたこと、全身骨格の産出が少ないことの理由で、一つの種に対して複数の名がつけられている可能性もあるという。今後の研究の発展によってこの問題について明確な結論が出るものと期待される。
日本に一番近い隣国の韓国からは、まだ発見されていない。台湾からはアカツキゾウが産出している。ところが中国には黄河象というアカシゾウに非常によく似た象が発掘されている。名の通り中国北部の黄河流域の甘南省合水で発見されたが、この象は体高4mに達する見上げるばかりの巨象である。アカシ象は今回の発見で体音は2.2mぐらいと推定されるが、様に並んだとしたら、まさに親子といえそうである。
なぜ、こんなに大きさが違うのに近緑の種とされるのか。上の復元図からはわからぬが頭骨の特徴、とくに前額部の凹みと傾斜がアカシ象そっくりである。三枝さんは、この本が出版される頃、黄河象の研究に中国へ出発される。近い将来、彼によってアカシ象誕生の謎解きの提案がなされるに違いない。
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