神戸の自然シリーズ16 神戸層群の化石を掘る
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ヤシ科の化石 Palmae


▲発見場所
垂水区名谷町
の柱状図


▲発見場所
北区星和台
の柱状図
シュロ属 Trachycarpus sp. 中心の部分が正三角形になる▲

▲シュロチク属 Rhapis sp. 中心部が小さくはっきりしない

▲ビロウ属 Livistona sp.
中心部の鋭い二等辺三角形に見えるものが特徴

ヤシ科
▼シュロ、ビロウ、シュロチク属の中心部の特徴
 神戸層群から見つかっているヤシ科の化石は3種ありますが、それらは現在のシエロ、ビロウ、シュロチクの仲間にあたるものです。

 この3種の特徴は、葉が手の平のよう(掌状)に分裂していることです。写真のように、中心から扇状に小葉がでていることを「掌状に分裂している」といいます。扇子の形みたいにも見えます。また、小葉の葉脈の様子に持徽があります。強い主脈がたてにはしり、その主脈の間をよこに二次脈が見えます。

 シュロ、ビロウ、シュロチクと考えられる3種を見分けるポイントは、中心葉柄基部からの小葉がパッと手を広げたように分れる出方にあります。それぞれの写真をみてください。3種それぞれの葉柄の基部の部分です。この写真を見て葉柄から小葉が山る基部の形が種によって次のように違うことに気づかれるでしょう。シュロは基部の部分がちょうど正三角形のような形をしており、ビロウのような鋭さはありません。ビロウは、鋭い三角形をしており、先が細長い二等辺三角形のようです。

 シュロチクはシュロの基部を全体的に小さくしたような形をしています。シュロやビロウの大きさから見るとずっと小さく、葉柄の幅などからも区別できます。

 神戸層群のヤシ科はこの基部を含んだ化石が採集されており、今後正確な名前を決定するときに役立つものと思います。

 現生のヤシ科植物は熱帯から亜熱帯に多く分布しています。このことは、当時の神戸地方は現在よりも暖かかったことを示すよい証拠であるといえます。

 ヤシ科
  シュロ属 Trachycarpus H.Wendl.
  ビロウ属 Livistona R.Br.
  シュロチク属 Rhapis L.

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