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空からみた五助ダムとその周辺 |
五助ダムの地質見学・鴨子ケ原に流れた古い住吉川
住吉川に沿っておよそ1時間、山歩きの調子がではじめる所に五助ダムがある。ここは1日たっぷりかけるほど観察の対象に恵まれた場所であるが、次の4つは見落とせない。
- 土石流を食いとめた五助ダムの働き
- かつての土石流が示す古住吉川の位置
- 五助橋断層の断層破砕帯と六甲上昇
- 川原にあらわれている流紋岩類
- 昭和42年、雨量371.2ミリ、死者行方不明93名をだした42水害のとき、この五助ダムはすでに完成していた。高さ30mの堤の上から川底をのぞきこむと、川の大きさに比べて余りの高さに大きすぎるダムと思われていた五助ダムは、瞬時にして上流からの土砂で埋めつくされた。もしこのダムがなかったら昭和13年の阪神水害の再現をみたかも知れない。五助ダムがしっかりと下流域の市民を守ったのである。
- ひろびろとした川原はハイカーのキャンプ場になっているが、川原のうしろの崖にはかつての土石流の厚い礫層が残っている。この礫層の上部は礫の径が小さく、締まり方がゆるい。写真の人物のあたりは轢も大きく、よく締まっている。この礫層を下流に追って行くと、礫の大きい下部のものは、現在の住吉川の川筋から離れて鴨子ヶ原方面にひろがり、広く南に傾斜する平坦面をつくっている。かつて住吉川は鴨子ヶ原から御影にかけて流れていた。それに対して上部の小さい粒径の礫層は今の住吉川に沿う谷壁上の狭い平坦面(河岸段丘)をつくる。鴨子ヶ原に向う古住吉川が、南北方向の今の流れに変わったのは、五助橋断層の活動で、断層北側の山地の上昇と右ずれ断層のずれが大きくなったためであろう。
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かつて住吉川は
鴨子ケ原へ流れていた |

埋積された五助ダム |

土石流の地層は堅くしまった地層
(下)とゆるい地層(上)とがある。 |
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