神戸の自然シリーズ17 神戸の地層を読む2
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7.神戸で一番古い地層・丹波層群

丹波層群の地層でできている雌岡山


 丹波層群(たんばそうぐん)は神戸では一番い地層で古生代の二畳紀(2億5000万年前)から中生代のジュラ紀(1億5000万年〜2億年前)に海底でできた地層です。

 この地層は住吉川の上流の六甲山地の一部と北区山田町、西区押部谷町などにわずかに分布しているだけですが、かつてはこの地方いったいを広くおおっていたと考えられます。六甲山地の花こう岩の上にあった丹波層群の地層は浸食作用でけずりとられてしまい、有馬層群の分布している場所ではその下にかくれてしまっています。

 丹波層群は兵庫県中部の丹波地方に広く分布していてくわしく調べられています。それと同じ地層であると考えられるため、神戸のものも丹波層群とよばれています。

 かつては古生代にできた地層(古生層)と考えられていましたが、最近、地層の中にふくまれている放散虫の化石から古生代二畳紀から中生代ジュラ紀までのいろいろな時代にできた地層であることがわかってきました。

 ふつう、地層は古いものは新しいものより下にあり、順番に重なっているものです。ところが丹波層群はふしぎな地層でいろいろな時代の地層が複雑にかさなりあっているのです。

 丹波層群の地層のうち砂岩や泥岩(頁岩(けつがん))は、陸から運ばれてきた物質が海底にたまったものです。それに対してチャートや石灰岩などは大陸とかなりはなれた大洋底やサンゴ礁の発達する赤道地域でできたと考えられています。

 いまから2億年ほど前、日本付近は大陸のふちにあって泥や砂がたまって地層ができていましたが、そこに日本から遠く離れた地域でつくられたチャートや石灰岩が海底の岩板(プレート) とともにやってきて、地層の間に入りこんだり、つぎつぎとつけ加わったりしたという説がだされ注目されています。

 六甲山地の丹波層群は花こう岩によって熟せられたためホルンフェルスという変成岩にかわっています。

 大阪層群や神戸層群、現在の川原、海岸のレキの中にはこの丹波層群の地層をつくっているチャートのレキがたくさん入っています。

丹波層群の地層(西区押部谷)
丹波層群は頁岩、チャートなどが激しくしゅう曲し、重なりあっている地層である

ジュラ紀の放散虫
Parahsuum sp. (300倍)
二畳紀の放散虫
Neoalbaillella ornithoformis Takemura & Nakaseko
(300倍)
丹波層群の地層の中には放散虫の化石が入っている。これによって古生代二畳紀から中生代ジュラ紀の地層からできていることがわかった(竹村厚司さん提供)

図9 丹波層群の分布
神戸市内では点々と分布しているだけだが、北部では広く分布している

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