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7.左岸にしかない段丘
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播磨平野を流れる最大の川は加古川です。高砂から加古川をさかのぼり小野(おの)、社(やしろ)までいっても加古川はまだ相当の川幅をもった大きな川です。この小野や社のふきんには、みごとな河岸段丘がみられます。
少なくとも、5段の段丘面があって万勝寺(まんしょうじ)面、浄谷(きよたに)面、小野面、葉多面などと名づけられています。このような段丘は海面の高い時期に河川の河原としてレキなどをためてできた平坦面(段丘面)とその後の海面が下がった時期に河川の流れが急になって浸食されてできた崖(段丘崖)からできています。
この段丘面もまた東のほうが高くなる傾動をしています。たとえば、一番高い面である万勝寺面は、青野ヶ原では80mほどですが嬉野(うれしの)台では130m、万勝寺では最高170mになっています。
ところで、これらの数段の段丘面のうち万勝寺面以外の面は加古川の左岸にはみられるのですが、右岸にはほとんどみられません。
なぜ、このように非対称の段丘ができたのでしょうか。この地域も一番古い面ができたあと、東あがりの傾動運動が続いてきたためにそうなったのだと考えられます。
傾動運動によって加古川の左岸の東の地域は西がわよりたくさん上昇しますから、加古川はつねに西へよって流れることになります。そこで古い河原である平坦面は東ではのこされて段丘面となり、西では川によってけずりとられることになります。このようなことがくりかえされて段丘が川の一方にしか発達しないという地形がつくられたわけです。
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図55 加古川中流域の河岸段丘の非対称性と傾動運動の関係。
段丘の比高は無視してモデル化している |
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