神戸の自然シリーズ17 神戸の地層を読む2
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6.西に傾いた段丘面

播磨平野の段丘は西に傾いている


 六甲山地の上昇の影響をうけて段丘面が傾いているようすは、明石市や加古川市の西八木(にしやぎ)面や明美(めいみ)面でよくわかります・

 西八木面は明石川の西の海岸ぞいの地域に広がる段丘面で中位段丘ともいわれるものです。東は播磨町から山陽電鉄の沿線にそって続き、明石川をへだてて大蔵谷、舞子、滝の茶屋までみられます。

 この段丘は、6万年前にできたと考える研究者もいますが、私たちは12万年前の高海面の時代にできたものだと思っています。

 さて、この西八木面は東二見のあたりで標高10m前後ですが、西明石駅ふきんでは25mぐらいになります。さらに大蔵谷では35m、舞子では40mと東にいくほど高くなっています。一方、明美面は前にも書いたように雄岡山ふきんから扇型にひろがる高位段丘に区分されている段丘面で南西ほど低くなっています。この面はもともと同じ高さを持つ面として形成されたものではありません。しかし、扇の先端にあたる部分はかっての三角州か砂州にあたるところと考えられますから、ほぼ当時の海面の高さであったはずです。

 その部分の高さをみると、西はしの加古川市では30m前後ですが、東はしの岩岡町では80mになっています。

 このように一方が大きく上がりもう一方はあまり上がらないために傾くような地盤の動きを傾動運動といいます。明美面より古い高位段丘面である垂水面も傾動しています。

 くわしく調べてみると、段丘面だけでなく神戸層群の分布する丘陵も傾動運動の影響をうけていて古い面ほど傾動の率が大きいということもわかります。このことは、この傾動運動がある時期にいっペんにおこったものではなく、少なくとも100万年くらい前から現在まで続いている運動であることを意味しています。

図52 段丘面の傾動

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