道ばたに見る春の草たち 広瀬重夫
 マンテマのなかま


 ここで紹介します5種類はどれもヨーロッパからはいってきました。1年草か越年草の帰化植物で、さきに扱ったハコベなどと同じナデシコ科のなかまです。

 それで、葉は向き合ってくっつく対生で、花びらは5枚ですが、二つにさけるものがありますので10枚と見あやまらないよう気をつけます。


写真103,マンテマ
5月,垂水区
写真104,ノハラナデシコ
6月、須磨区


■マンテマ
 およそ150年ほど前、観賞用にと日本にはいってきたとされるかなり古い帰化植物です。いまどきのガーデニング(gardening)でカラフル(Colorful)な園芸植物とちがって、ずいぶんと控えめです。しかし、花びらの紅色の紋のまわりが白くふちどられ、小さい花ながら人の目をひきます。


■ノハラナデシコ
 新しく開発された集合住宅の造成地の法面(用地のふち守る斜面)の草むらにポツン、ポツンとまばらに突っ立っていました。花は茎の上の方にまばらについています。工事のあとなど、人が大きく手を入れて、もとの土地を変えたところへは見慣れない植物が混じっていることがありますので気をつけて見ていきましょう。



写真105,シロバナマンテマのロゼット葉
2月,垂水区
写真106,シロバナマンテマ
5月,垂水区


■シロバナマンテマ
 シロバナマンテマのロゼット葉は,歩道の低い木の植え込みのふちで、冬の日を浴びて春にそなえています。地ぎわから広げている根生葉(ロゼット葉)はしゃもじ形をしています。オランダミミナグサのロゼットと見比べましょう。

 道路ぞいの街園の草地に群がって生えているところです。花は白色からうすいピンク色で、だいたい同じ向きに突き出しています。マンテマとのちがいは、ヒトにたとえますと人種のちがいのようなもの。どちらも花の大きさは1cmぐらいですがシロバナのほうは花びらも細くてマンテマより見劣りがします。


 

写真107,イヌコモチナデシコ
4月,東灘区
写真108,ドウカンソウ
7月,稲美町


■イヌコモチナデシコ
 遊歩道のすみっこで、吹きだまりになって土が寄せられ、にわか造りの自然のうえに群がって生えていました。なんとなく見落とされそうなみずほらしい花ですが、よく見るとマンテマのなかまのなりをしています。表をみて、ほかのものとのちがいをみつけてください。


■ドウカンソウ
 神戸の市街地での記録は、数年前の資料を見ますと「ごくまれ」だったようで、私はまだ見ていません。ところが、西隣りの稲美町では群がって生えていましたので、写真にしました。街中で見つかりましたら記録に残しお知らせください。この場合に限らず、生きものの出没、増減、移り変わり(これを消長といいます)を見ていくことは、人と自然のかかわりを考える上で大切です。



マンテマのなかまを比べる
生育型 葉の形 花びら 花のつきかた 市街地での広がり
マンテマ 分枝・直立 へら形 紅色の紋ふちは白 穂状 少ない
シロバナマンテマ 分枝・直立 ヘラ形 白かうすいピンク 穂状 多い
ノハラナデシコ 直立 線形 ピンクに白の点々 束生 まれ
イヌコモチナデシコ 分枝・直立 線形 先が二つにさける 単二出 少ない
ドウカンソウ 直立・分枝 長卵形 先が二つにさける 単二出 まれ

※上の表にあげたもののほかに、市街地で見るマンテマのなかま
 コモチナデシコ:茎のてっぺんに数個の花を包んで直径2cmほどの球形になる。
 ムシトリナデシコ:ドウカンソウの花より濃い紅色の花を傘状につける。

「マンテマのなかまを比べる」の用語解説

※分岐・直立はそう生型ともいう。茎の本数に関係ない.
※直立は上の方で少し枝を出す.

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