神戸の自然シリーズ20 神戸の淡水魚 原著
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31.ゴクラクハゼ (ハゼ科)

 名前からして天下泰平な魚だとイメージするが、実はヨシノボリによく似ていて、一見しただけではヨシノボリと区別しにくい。ほほに複雑なミミズ状斑があることや、腹の吸盤が長でヨシノボリほど吸着力が強くない点、体の側面、一列に青く光る点斑があることで区別される。

 主に河口付近から川の下流に生息するが、中には湖や池で一生をすごすものがある。砂れき底を好む。全長7〜8cmで淡水と海とにすむ両側回遊をする。

 ヨシノボリと同じように石の下面に卵を産みつける。卵は雄が保護する。雑食性で底にいるエビなどの小動物を食う。

 水槽では、ヨシノボリと似たような行動をするが、吸盤が強くないので底にいることが多い。上にあがってもヨシノボリのようにガラス面に吸着することはほとんどない。

 茨城・秋田両県以西の本州、四国、九州、沖縄に生息する。

 神戸市内では高取山のふもとの池にいる。

 本来、川の下流や汽水域にすむこの魚が上流の山の中の池に生息するのはどうしてだろうか。今では魚のすめない妙法寺川と細々とつながっているが、昔、この山の中にまで川を溯って(さかのぼって)きたのだろうか。この池にはふつう川にすむドンコもいて、かつての豊かな自然がとじこめられているようだ。移植魚とともに入ってくることもあるが、そういう理由ではなさそうな平凡な大きな池である。閉じこめられたゴクラクハゼはまさにここで極楽の生き方をしているのかもしれない。


Rhinogobius giurinus (RUTTER
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