神戸の自然シリーズ1 六甲の断層をさぐる
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北の六甲断層帯 2−花こう岩流紋岩の関係

 この1メートルの幅をもつ断層粘土をはさんで北側の流紋岩と南の花こう岩とが接しているが、いったい、どちらが先きに地表にあらわれていたのであろうか。

 この場所での観察だけでは、この疑問に答える情報は得られないが、その解答は有馬−唐櫃間の水道トンネル工事で明かにされた。

 六甲山北麓の新興住宅地のひとつ、唐櫃地区へ上水道を供給する北神上水道トソネルは、有馬−唐櫃を結ぶルートで1965年に着工され、翌1966年に完成している。

 この2900メートルにおよぶ水道トンネル内で流紋岩花こう岩の影響をうけて、熱変成(ホルンフェルス化)しているのが確かめられている。また、後から貫入してきた花こう岩マグマも、さきにあった流紋岩体に触れたところでは、急冷され、微細な結晶からなる急冷細粒相の花こう岩になっている。これらの事実は、流紋岩がはやい時期に噴出していて、そこへ後から花こう岩が出てきたことを物語っている。

 関連して紹介すると、六甲花こう岩はカリウム、アルゴン法で年代測定が試みられ、今から7、8千万年前に生成された岩石であるとの結果が得られている。また、流紋岩については、六甲山地周辺の試料ではないが、約1億年前後の古さであるとの測定値がでている。地質時代でいえば、ともに中生代白亜紀に属する。

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