神戸の自然シリーズ16 神戸層群の化石を掘る
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ヌマミズキ属 Nyssa a-yokoyamai Tanai


▲発見場所
垂水区名谷町の柱状図

▲大きいのこぎり葉を持つタイプ

ヌマミズキ属

 このニッサ ア・ヨコヤマイは神戸層群から特徴的に産出
する重要な種である。

 葉は卵形から長い楕円形をしており、葉の縁には切れ込みのない全縁のものが多い。しかし、上の標本のような三角状ののこぎり葉をもつものもある。

 白川累層の中部と最上部の凝灰岩より多く産出する。葉が大きいために完全な形で採集は難しい。

 現生のヌマミズキ属は日本には分布しないが、北アメリカ東部とヒマラヤ地方から東南アジアにわたって8種が知られている。水辺によく生育する。

(オオギリ科 ヌマミズキ属  Nyssa L.)


■のこぎり葉のないタイプ
▲いろいろな種類の葉の化石にまじって産出するヌマミズキ





化石種と現生種の葉脈の比較

 A.B.C.
 化石種 Nyssa a-yokoyamai
 D.E.F.
 現生種 Nyssa aquatica

 化石種と現生種との葉脈は次のような共通点が認められる。
  1. のこぎり歯は三角形(A.D)
  2. 葉の縁に沿った脈はうねるような形(A.D)
  3. 第2脈間をつなぐ細かい葉脈は四角形や五角形の網状脈をつくる(B.E)
  4. 網状脈の囲みの中の最終脈は枝分かれ状を示す(C.F)                     
(棚井1977より)
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