神戸の自然シリーズ21 六甲山はどうしてできたか
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鉱物レベルから岩石、地形へ

 横尾山の須磨アルプスで山の形成にかかわった強い圧力がミリメートル単位の小さく固い石英を壊している事実を顕微鏡でみた。須磨アルプスの尾根では岩石が圧しつぶされ、砂や粘土に風化浸食をうけていく過程を手に触れて実感した。

 大地をつくる単位をもうひとつ大きなレベルにあげて、山や丘陵の成因と結びつけてみよう。

 写真は横尾山から北西の多井畑方面の展望であるが、鉢伏山でも紹介したように横尾山北麓では、花こう岩が神戸層群の上に衝き上げている。さらに多井畑では、ほんらい水平である神戸層群が部分的には垂直になるほど変位してしまった多井畑断層が造成地にあらわれた。

 何れも地殻の表面に働く強大な圧力のなせるわざである。北西 ― 南東方向からの圧力が100万年も続いた結果、横尾山をはじめ六甲山地を生みだす原動力となった。


造成工事で現れた多井畑断層 (須磨区多井畑)

多井畑厄神北東の造成地の多井畑断層


横尾山から北西の多井畑をみる

横尾山から多井畑にかけての地下の断面図(藤田・前田 1986)

上:高取山へは北西側から登る。
上右:高取山(320m)を市街地上空からみる。
右:新緑に先立って咲く、コバノミツバツツジ。

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