神戸の自然シリーズ21 六甲山はどうしてできたか
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2.六甲山の上昇に負けなかった川

菊水山と鍋蓋山の遠望


 もし六甲全山縦走をマラソン並みの長距離レースにたとえれば、勝負の鍵は菊水山、鍋蓋山、稲妻坂の三つの急坂にあるといえる。どの斜面も150〜200mの高度差を一気に直線状にかけ登らねばならない。

 このようなX字形の斜面をかけ下り、かけ登る非情な地形はどのようなしくみでできたのであろうか。

 それは六甲山地の上昇の速さよりも、川底を削り下げる下刻作用のほうが速かったので、山地が上昇する前の川の流路を維持し、どんどん深い谷地形をつくったことにあるといえる。このような川を先行河川(せんこうかせん)という。

 天王川と布引谷(生田川)はその典型である。この理由はもう一度、苛酷なアップ、タウンの先行河川渡りを体験したあとで考えることにして、とにかく全身に汗をかいて先行河川に挑戦しよう。


観察のポイント (2万5千分の1地形図 神戸首部)

1. 丸山衝上断層の説明板があったところだが、今はコンクリートで固められて断層はみえない。
2. 数年前の工事で丸山断層があらわれた。
3. 布引花こう閃緑岩が石垣に使われている。
4. 川原に布引花こう閃緑岩がひろくあらわれている。
5. 六甲全山縦走コースの最大の難所、菊水山への登りがはじまる。
6. 市街に向って落ちるような急斜面とは対照的に北西の鈴蘭台方向へはゆるい傾斜を示す傾動地塊の特徴をみる。
7. 天王川のX字谷の急斜面をみる。これが先行河川の特徴的な地形である。
8. 高圧線の真下あたりから神戸層群より洗い出されてきた礫が点在する。


観察のポイント (2万5千分の1地形図 神戸首部)

9. このあたりから道に沿って厚さ1〜2mの神戸層群の礫層がみられる。
10. 再度山頂へのぼる細い道にあらわれている礫層が神戸層群の東の端らしい。
11. この南側の崖に若い植生が上から下へ続く。昭和42年の集中豪雨で崩れ、多くの尊い人命が奪われた。先行河川としての布引谷の特徴もみておく。
12. 時間があれば布引断層をみる。
13. ここから50mばかりの登りの間に花こう岩があらわれており、風化や節理が観察できる。

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