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イワカガミ |

バイカツツジ |

白い花の咲くツツジ、シロヤシオ
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コベニドウダンツツジ
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ブナの黄葉 |

ドウダンツツジの紅葉 |

六甲山頂付近の自然林の黄葉 |
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ヤシャブシの霧氷 |

桜の満開とまちがえそうな霧氷 |
六甲山はどれくらいの速さで上昇したか
速度とかスピードと書けば、私たちの生活感覚からうける速さと比べそうになるが、地殻変動による大地の動きは、年平均でも次にあげるように超スローな上昇速度である。
さきに見た芦屋奥池西のゴルフ場内にメタセコイアの化石の出る地層があり、約100万年前と推定されている。この地層にかつてつながっていた同じ地層が麓の西宮市鷲林寺(しゅうりんじ)付近に分布している。奥池付近は海抜約500m、鷲林寺付近は約250mである。100万年間に驚林寺付近は250mの高さに押しあげられ、芦屋断層を境に奥池のブロックはさらに250m高い500mの所まで押しあげられたのである。
この2地点における100万年間の上昇速度を年平均で求めると奥池は0.5ミリメートル、鷲林寺は0.25ミリメートルとなる。年平均にすればこのように微々たるものであるが、実際には後述するように、数千年か数百年の間隔で発生したであろうマグニチュード8クラスの巨大地震のさい、垂直方向に、あるいは水平方向に数メートル規模で変位し、それらの積み重ねが今日の六甲山を形づくってきたのである。これまでみたり、これからのコースでみる断層に伴う破砕帯は、地殻に働く強大な圧力に耐えかねて花こう岩が破壊されてしまった姿なのである。
六甲山の周辺には、上の例のほかにも六甲上昇の跡を示す年代と高度のわかっている地層がある。神戸市西部の垂水区小束山小学校西のバス道路が学園都市駅に向う途中で小さい坂道を登るが、その道路に沿って海の貝化石をたくさん含んでいる高塚山粘土層が出ている。この地層は火山灰の年代測定で約50万年前を示し、この場所は100メートルの高さである。50万年間に100メートルの上昇量であるが、年平均の上昇速度に換算すると0.2ミリメートルになる。
また須磨区一ノ谷町には海岸に沿って平らな地形の海岸段丘が分布しているが、一ノ谷町ではほぼ50メートルの高度である。この平らな海岸段丘は、西へ明石城から西明石駅などをへて経て東二見まで延々と続く平坦面で西八木面とか中位段丘面は呼ばれている。これは約12万5千年前に地球的規模で訪れた温暖気候による海面上昇(現在より5メートル高かった)のときの海底なのである。神戸ではその後の六甲上昇の影響をうけて一ノ谷町では50メートルを超す高さにまで隆起したのである。年平均0.4ミリメートルの上昇速度である。
傾動運動の動き
六甲山地の東に高く、西に低い傾動地塊の動きを上のデータからみるとどうか。中位段丘の西のはしの明石市東二見付近では高さは10メートルである。ここから東へ約30キロメートル離れた須磨区一ノ谷町では同じ段丘面が50メートルを示し、明らかに西から東へ高くなる傾向を示している。さらに東へ六甲山地の中心部の神戸市街地では、この中位段丘はどれくらいの高さをもっているか。非常に興味深い問題であるが、残念なことに、神戸市街地では山から供給された土石流堆積物などが表面をおおい、その高度の認定は難しい。
なお神戸市西部の土地の動きについては、このシリーズ17の『神戸の地層を読む2』に詳しく書いたので参照されたい。
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