神戸の自然シリーズ21 六甲山はどうしてできたか
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4.六甲山の上昇を物語る階段地形

東六甲の尾根にひときわ目立つNTT船坂無線中継所。

 石宝殿を過ぎると、間もなく全山縦走路はドライブウェーと別れる。ここから最終点の塩尾(えんぺい)寺までの13kmは、最終コースにふさわしく静かな山歩きの楽しめる行程である。ところがコースの両側の木立ちは意外に深く、六甲誕生にかかわる地学的な展望のきく所は数か所にすぎない。

 しかし、その何れの場所も六甲変動の過程を充分に語ってくれる。奥池に始まり、鷲林寺、上ヶ原へと階段状に飛んで分布する平坦な地形、有馬から高槻へのびる六甲断層のつくる断層谷など、六甲誕生の謎にひかれ、ここまで歩き通した私達に総合的な解答をあたえてくれるコースである。




展望のポイント
  1. 沈降域伊丹と上昇域六甲との比較
     
  2. 小笠峠から奥池へのびる断層
     
  3. 樫ヶ峰北斜面の砂防工事
     
  4. “断層谷”太多田川とその延長
     
  5. 六甲山東南麓の階段地形

(2万5千分の1地形図宝塚)


(藤田・笠間1971)

地形と地質の対応

 この地形図と地質図と目の前にひろがる風景との3者を見比べてみよう。

 奥池のなだらかな平坦地の北側の林山は花こう岩、東の観音山も花こう岩で、奥池の周りは砂、、粘土の大阪層群と高位段丘で、奥池と林山との間は五助橋断層で鋭く境されている。

 奥池の東の観音山の急な斜面の下にゆるやかにひろがる鷲林山は大阪層群で、斜面と平地との境に芦屋断層がある

 東六甲の北側に並行して流れる太多田川の北は流紋岩類、南は花こう岩で、この直線状の谷を六甲断層が走り両者を分けている。

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