六甲山誕生の謎解きの証言者をもとめて全山縦走コースを歩いてきた。全コース56kmを4,000人の参加者の一人として、正式の縦走日の11月23日の勤労感謝の日に1日で歩き通した人もおれば、私のように4回に分けた分割縦走者もいるだろう。
鉢伏、鉄拐、横尾山では水平圧縮の力が山を生むしくみを、菊水山と鍋蓋山を刻みこむ天王川では上昇に負けない先行河川の営みを、そして坦々とした山上の平坦面、4段の階段地形などをみながら歩き通した。
今度は六甲山地を断ち切る面をみる沢歩きのコースを案内したい。六甲で一番大きい川の住吉川をつめ六甲山頂を越えて有馬温泉にいたる地質見学の道である。健脚向きのコースだが、ここは2億年の海底にできた古い地層をはじめ、断層の動きに川すじが移動したところ、大規模な土石流堆積物など、六甲全山縦走コースとはちがった六甲の素顔をみせてくれる。
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