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5.残った疑問のかずかず
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高塚山付近の総合地質柱状図
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今まで述べてきたように私たちはこの高塚山の大露頭の観察でずいぶん多くの事を発見しました。
同時にそれ以上に多くの疑問を残しました。この疑問は、これ以後このあたりの地層を調査し研究するテーマにもなるものでした。
わかったことと残された課題をまとめておくことにします。
第一に、今まで「高塚山粘土層」と呼ばれていた(9)粘土層は、湖にできたものから内湾にできたものに変化していく粘土層であるということがわかりました。このことを化石の証拠から裏づけしていくこと、そしてその湖や内湾がどのように拡がっていたのか、という問題は今後の課題です。
第二は、この粘土層ができた時代がいつだったのか、そしてその当時の環境はどうだったのかという問題です。この粘土層の中には多くの貝化石を始め植物化石が含まれています。この貝化石の層は「高塚山貝層」(10)と名づけられすでにくわしく調べられています。その結果、ヒメヌマコタキガイなどが発見されて当時はかなり寒冷な気候であったと考えられていました。しかし海がここまで広がっていたのならば地球は現在より暖かい気候で北極や南極の氷がとけて海水面がもっと高かったのではないかとも考えられます。その証拠はあるのかどうか調べてみる必要があります。
第三は、この粘土層の中にはピンク色の火山灰が含まれていることがわかったことは大切なことでした。今後この粘土層がどのように続いているのか、どの時代にできたのかを調べていく上でカギになるものです。
第四は、この粘土層は、三角州堆積物の最下部をしめる底置層にあたるものであり、その上にもともと傾いて堆積した前置層にあたる砂れき層があるということも新たな発見でした。
第五は、この粘土層より下には、不整合があり、不整合より下にはかなり厚い特徴ある火山灰層と湖成粘土があることもわかりました。この不整合より下の地層がどの時代にできたのか、この火山灰層と粘土層がどのように広がっておりどのように続くのかを調べる必要があります。そしてこの地層がいつ陸上に顔を出して削り取られたのかという問題も今後に残された課題です。
このようなかずかずの疑問を解いていくために、私たちは、このあたりの地層をかたっばしから調べ始めました。
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高塚山付近の調査ルートマップ(野構図)
地質調査は、地形図とフィールドノートにスケッチや記録を書くことからはじまる。 |
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