神戸の自然シリーズ12 神戸の地層を読む1
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4.削り取られた地層 − 不整合の発見

 この場所で私たちはもう一つ大きな発見をしました。前に書いた粘土を北の方へ追いかけて見ていくと、ある場所で砂とれきの地層に変わってしまうのです。粘土がだんだん粒が大きく.なって砂やれきに変わるという変わりかたではありません。一本のはっきりしたラインを境にして急に変化するのです。ちょうどそのラインの所には1〜2センチの厚さで酸化鉄が層になっています。約30度ほど傾いたこの境界の左右で明らかに異なる地層がぶつかっています。

 私たちは初め「これは断層かな」と思いました。しかし断層にしてはその境界の続きぐあいが直線的ではありません。南の方で境界は、地層の面に対して30度の角度で斜交していますが北の方へいくと地層とほぼ平行になっています。一体どうなっているのだろうと、ちょっと離れて地層全体の続きぐあいを見てみました。酸化鉄の層より下には、砂れき層があり、その下に火山灰の層、更に下には粘土層がありそれらは北の方へ続いています。これらの地層は、一本のラインによって切りとられたような感じで南には続いていきません。このラインの上にあたる部分、すなわち南から続いてきた粘土や砂の地層は、下の地層に乗り上げたように見えます。下の地層ももともとは南の方へ続いていたのでしょう。それが削り取られ、その上に新しい地層が乗り上げるようにして堆積しているように見えます。


高塚山付近の層相概念図


 地質学では、このような地層の関係を「不整合関係にある」と呼んでいます。一度堆積した地層が削り取られるというのはどういうことでしょうか。下の地層(粘土、火山灰、砂れき) は水の中で堆積したものでしょう。そして上の地層(砂、粘土)も水の中にたまったものに違いありません。しかしこの両者のできる間に大きなできごとがあったのでしょう。大きなできごとというのは、この場所が一度陸上に上がって削り取られた(浸食を受けた)ということです。このことは大へん重要なできごとなのです。この場所が、水底→陸上→水底という動きをしたということは、決してこの場所だけのできごとであったはずはありません。もっと広い範囲で起こった重大事件にちがいないのです。

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