神戸の自然シリーズ12 神戸の地層を読む1
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3.神戸層群から現在まで
 研究学薗都市やその周りの地層を手がかりにして、大昔の自然の変化をまとめてみます。
  1. 火山活動と湖の時代
     気候は温暖で、亜熱帯〜温帯までの植物が繁茂していました。湖(古神戸湖)は垂水から三田市、東条湖あたりまでひろがっていたが、北から南へ移動したようです。この地質時代は新生代新第三紀中新世(ちゅうしんせい)で約1,500万年前のことです。(注1)地層の名前は神戸層群白川累層といいます。
     
  2. 陸化の時代
     地層が残っていないので、この期間は湖や海はなく、陸化していたと思われます。約1,500万年前〜約100万年前で新生代新第三紀中新世(ちゅうしんせい)〜第四紀更新世(こうしんせい)にかけての時代です。
     
  3. アカシ象とメタセコイアの森の時代
     メタセコイアを中心とする落葉林と常緑林があった時代で、気候は温和でした。この森や草原には、アカシ象をはじめ、鹿も生活していました。六甲山地の西麓から淡路島、播磨灘にわたって湖がありました。約100万年前のことで、新生代第四紀更新世です。大阪層群明石累層の小寺層ができた時代です。
     
  4. 暖かい海の時代
     気候の暖化にともなって、陸上は落葉林から常緑林へかわり、南から東洋象やマチカネワニなどが移動してきます。明石海峡から播磨灘にかけて拡大してきた海には、メジロザメが泳ぎ、シオガマサンゴなどがすんでいました。約50万年前で、新生代第四紀更新世、大阪層群明石累層高塚山層ができた時代です。
     
  5. 広い海の時代
     50万年以後、数回海が進入してきますが、およそ20万年前、大規模な海進がはじまり、明石海峡を通った海はどんどん拡がり、三木市、小野市をはじめ、播磨平野はほとんど海水におおわれます。播州平野一帯にひろがる表面に赤茶けた色の土をのせる台地(高位段丘)は、この時期にできました。化石を含むほど海成層は厚くないので、当時の東播州の自然史は充分解き明かされていません。約20万年前で新生代第四紀更新世、大阪層群明美累層のできた時代です。その後2回の大きな海の進入がありましたが、2回目の海が現在の海です。

※注1 その後の研究で、神戸層群は、古第三紀、3500万年前のものであることが明らかになりました。
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