神戸の自然シリーズ17 神戸の地層を読む2
  前ページへ 目次へ 次ページへ

2.現在できつつある地層・沖積層

沖積層のたまっている低地と海(兵庫区和田岬と大阪湾)
和田岬は、潮流によって西から運ばれてきた砂
がたまってできた土地である。左上方は淡路島


 最も新しい地層で約1.5万年前から現在までの地層を沖積層(ちゅうせきそう)といいます。1.5万年前というのは、100万年位前から始まった氷期と間氷期のくりかえしのうち最後の氷期 (最終氷期) が終わった時です。

 このあと気候が急速に温暖化する1万年前から現在までを第四紀完新世と呼びます。

 地層の現代版とも言える沖積層はどんな所で見られるのでしょう。

 第一は現在の海です。海に運ばれてきた砂や泥が神戸港の沖では30mもたまっています。

 第二は海に面した低地です。須磨から元町まではJR線より南、三ノ宮から東灘までは国道43号線より南です。ここは最終氷期が終わって海面が上がってきて一番高くなった6000年前(縄文海進)、海におおわれた所でもあります。

 第三は現在の川原でそこには上流から運ばれてきた小石(レキ)や砂がたまっています。六甲山地の南側の市街地では川が運んできた土砂が扇状地をつくっています。

大阪湾の底にたまった粘土層(ポートアイランド、水面下23m)

現在の川原にたまっているレキ層(明石川、西区平野町)


図1 現在できつつある地層(沖積層)のいろいろ


沖積層と完新世

 沖積層とは、最終氷期の終った時(1万5千年前)から現在までにできた地層のことです。氷期には海面が下がり河川が深く谷をけずりこみ、その後の海水面上昇の時に地層がたまるために、この1万5千年を境に、地層のようすが大きく変っています。一方、完新世(沖積世)は、1万年よりも新しい時代のことです。ですから、厳密には、沖積世にできた地層と、いわゆる沖積層とは一致していません。


冲積世、沖積世、完新世

 以前は第四紀は、冲積世と洪積世(こうせきせい)に区分されていました。冲積とは、流水のために土砂が積み重なるという意味で、洪積とは洪水によって土砂が積み重なるという意味を持つ言葉ですから、ほんらいは、時代を特徴づけるものではありません。ですから、もっと古い時代の地層でも「ここは、かつての沖積平野であった」などと言うことがあります。
 そこで、最近では、第四紀を完新世と更新世に区分して呼んでいます。
 なお「沖積」はほんらいは「冲積」と書かれていましたが、常用漢字にはかっため「沖積」と書くようになったものです。


前ページへ 目次へ 次ページへ