神戸の自然シリーズ17 神戸の地層を読む2
  前ページへ 目次へ 次ページへ

3.海面が高い時代につくられた地層・段丘層

明石、西八木海岸の段丘面  
(西八木面(中位段丘面)と呼ばれる平坦な面で、
12万年前の高海水面期につくられた)


 今から12万年前、最終氷期が始まる前(最終間氷期)に海面の高くなった時代がありました。その時に海底になったり、あるいは海岸近くの低地であったところに堆積物がたまり、平坦な土地ができました。その平坦な土地が現在陸上にあらわれている部分が海岸段丘です。

 段丘をつくつている地層を段丘層と呼びます。海面が高かった時代は12万年前以降、10万年、8万年、6万年など何回かあったことがわかっており、段丘層には、いくつかの時代のものがありそうです。

 神戸の市街地では山ぞいの台地として、高さ10数m〜50mの所に分布しています。ここは、かつての河川のつくった扇状地や海岸ぞいの低地と考えられます。

 塩屋、垂水、舞子の海岸ぞいに見られる段丘は、明石市の林崎から東二見に広がる段丘に続く、典型的な海岸段丘です。

 この海岸段丘層がたまっている時、川原にもレキや砂がたまって川原の平坦面を作っていたはずです。その後、海面が下がったために川のこう配が急になって河床がけずりとられ、かつての河床が一段高い所に残されてできたのが河岸段丘です。

 河岸段丘は西区を流れる明石川、櫨谷(はせたに)川、伊川、北区の志染(しじみ)川(旧山田川)、淡河(おうご)川などの中流、上流でみられます。神戸市を離れた場所では加古川の中流、小野市・社町の左岸に数段のみごとな河岸段丘が見られます。河岸段丘をつくつている地層・段丘層はたいていの場合、レキと砂からできています。

 この段丘層の作られた時代は、第四紀更新世(こうしんせい)後期です。


海面の高い時代
海底・海岸平野・河床に平坦面がつくられる

海面が低下する
・海底や海岸平野の平坦面が海岸段丘面となる。海岸に波食崖がつくられる
・川の下刻が進み、かつての河床の平坦面が河岸段丘面となる
図2 段丘はかつての高海面時のなごりである



播磨平野の段丘
加古川中流域の河岸段丘、5段の面がみられる(河岸段丘も海水面の上昇・下降に対応してつくられる)
段丘は高い所にあるものほど古く、面の高さと形態、堆積物によって区分され、垂水面、明美面、西八木面などと名づけられる


前ページへ 目次へ 次ページへ