神戸の自然シリーズ17 神戸の地層を読む2
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3.サメやサンゴのいた海

コケムシ(蘚虫類)

シオガマサンゴ


 高塚山貝層からみつかった化石は貝だけではありません。サメの歯が見つかっています。現在でもインド洋から太平洋にかけて生きているメジロザメの上あごと下あごのものです。そんなサメがこんなに内湾に入ってきて泳いでいたと考えるだけで楽しくなります。ほかにエイのしっぽ、淡水魚であるギギの下あごの骨もめずらしいものです。

 カキや石にくつついたサンゴの化石も多数みつかりました。シオガマサンゴという単体のサンゴで現在でも黒潮の流れる日本の沿岸で生きている種類です。

 フジツボも見つかっていてシロフジツボ、ムレフジツボ、ゲンビフジツボ(仮称)の三種(山口寿之さん鑑定)があります。

 貝化石が密集している部分の粘土をよく見ると白い綱目もようのものが見つかることがあります。これはコケムシという貝がらなどにくつついて群体で生活する蘚虫類という動物です。

 海底の泥や砂にあなをほって生活する小動物のすみあともたくさんみつかります。おそらくシャコやカニなどのすんでいた穴だと思われます。

 貝層のうえの砂の混ざつた地層からはカニの化石がみつかりました。植物としては、ヒシ、クルミ、エゴノキ、マツの実があります。これらは川によって運ばれてきたものでしょう。

ギギ(淡水魚)の骨(濱本能一さん採取)

ヒシ

メジロザメの歯
(池田正宏さん、森俊幸さん採取)

生痕(カニ、シャコなどのすみあと)

エイの尾針

高塚山貝層から産出したいろいろの化石

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