高塚山粘土層は貝化石などのふくまれている高塚山貝層だけでなく、その下位に淡水成の粘土層があります。高塚山の海ははじめは湖であって、やがて海水が混じってきて海になったと考えられます。その経過を詳しく知るために、ケイソウの化石を調べてもらったのは、佐藤裕司さん(兵庫県企業庁)です。
ケイソウと花粉を調べるための試料は粘土層の一番厚いところで下から順番に19個採取しました。
佐藤さんが調べた結果はつぎのようにまとめることができます。
高塚山粘土層のケイソウ化石は図16のように見事に上下二帯に分かれます。試料1から10まではユウノチア属やメロシラ属などの淡水にすむ種が圧倒的に多く、海にすむケイソウは全く出てきません。これに対して11から19にわたってキクロテラ属やタラシオスラ属など海のケイソウが急増しますが、淡水のものもわずかであるが認められます。とくに試料13・14・15の層準には海水種が多く、なかにはタラシオスラ・オエストルピィのような黒潮域にすむ暖海種が出てくるので、この層準のときが高塚山海進が最高に達したときだと考えられます。
このようにケイソウの研究からはこの高塚山の海が湖から始まり、海が進入してきたこと、さらにその海が温暖な海であったことが証明されたわけです。
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