神戸の自然シリーズ17 神戸の地層を読む2
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5.扇状地の発達する湖岸と山地

図40 アカシ象のいた200万年前の湖水域と扇状地


図41 明石累層の層相概念図



 このことは南部や西部で粘土層などをためる湖があったとき、この北部から東部にかけてはレキ層がたまり扇状地がつくられていたということです。

 山から流れてきた川の流速はその山の出口ふきんで急におとろえ、運搬力は小さくなります。そこに山から運ばれてきたレキはとどまることになります。そのレキによってできるのが扇状地です。

 ということは、この明石累層の時代にはレキをはきだしてくる山地が存在したことになります。六甲山地はその当時まだそれほどの高まりをもっていなかったと考えられています。また、レキ層のレキの種類は流紋岩(りゅうもんがん)が多く、ほかはチャートですから、花こう岩からできている六甲山地から運ばれてきたものとは考えられません。

 そこで私たちは、六甲山地が隆起を始めるまえのこの時代に、その北にある丹生山地がすでにあったのではないか、という仮説をたててみました。

 川が湖に流れこんできたチャンネル堆積物の方向やレキの長軸の方向も北東から南西に向かう方向のものが多いこともこのことをうらづけています。このようにして、当時の古地理図を推定してみたのが図40です。

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