３．六甲が上昇をはじめた時代の神戸 下部の黒っぼい地層は高塚山粘土層で50万年前の地層。その上に砂とレキの地層がある。これは海が退く時、三角州・扇状地が前進してできた地層である。 　今から120万年前、第四紀更新世の前期にあたる時代は、大阪湾に第四紀に入ってはじめての海が進入してきた時代です。その後、海は何回か進入したり退いたりをくりかえし、そのうちの何回かは長田区や中央区まで入ってきましたが、垂水区や西区までは入ってきませんでした。 　それは、六甲山地と淡路島がかなり上昇をしていて一連の山地になっていたからです。当時、現在の播磨灘には岡山県や香川県からながれてきた大きな河川があり、明石海峡をとおって大阪湾に流れていました。垂水区や西区ではその支流の川が、明石累層からなる台地をけずりとりながら流れていました。 　この時に浸食されてできた地形面が明石累層と明美累層の不整合面で、垂水区多聞町でみられます。この不整合は多聞不整合（たもんふせいごう）と呼びます。 　そのころ、垂水から押部谷を結ぶ南北の線を境にして六甲山地をふくむ東側の地域とその西側の地域は高塚山断層の活動によって100m近くのくいちがいができ、そこには断層崖ができました。