神戸の自然シリーズ6 神戸の野鳥観察記
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■3.ホトトギスとウグイス −寄生的繁殖者と犠牲者

1.神戸のホトトギス

 ホトトギスもウグイスもその名を知らない人はないほどよく知られた小鳥である。ウグイスはどこにでも多い鳥であり、さえずりがほかの鳥のそれとくらべてひときわはっきりしているから、一声聞けばたいていの人はウグイスとわかる。しかし、ホトトギスになると名は知っていてもその声を知る人は少ない。ウグイスほどどこにでもいる鳥ではないし、鳴き声を聞ける期間も短かいからであろう。

 ホトトギスの声を聞こうと思えば、6〜7月に六甲山か摩耶山へ登るとよい。梅雨の頃がいちばんよい。山上をひとまわり歩くと、1日に10羽ほどは聞くことができる。この声も7月の半ばをすぎればだんだん少なくなって、8月にはいると、ときどき思い出したように鳴くだけである。

 六甲山でホトトギスの初音が、いつ頃か数年にわたって調べたところ、5月17日の例が多かった。渡りながらも盛んに鳴く鳥だから、渡来日と初音を開いた日はだいたい一致していると思ってよいだろう。数が多くなって、いつでも聞かれる状態になるのは6月に入ってからである。

 六甲山のほかでも須磨の横尾山で、6月いっぱい留まっている年があるが、むしろこれらは例外的で、高取山やそのあたりの低い山では渡りのときだけ通るようである。6月に入っても、つぎつぎと渡ってくる個体があるので、このような所でその頃になっても声を聞けるので、うっかりするとずっと同じ個体が留まっているように思えてしまう。

 渡りが続くことは、6月中旬になってもまだ町の中で、夜空を渡る声があることでわかる。

 丹生山や再度山では夏に残るものもあるが、6月はじめ頃は、数や鳴いている地域に変化が多く、まだまだ定着するには至っていない時期である。

 六甲山でも渡ってきた個体が定着するのは、6月半ばになってからとみられる。早い季節に鳴いている個体は、巡回するコースも、テリトリーも毎日のように変わり、同じ個体かどうか疑わしい。巡回のコースが決まり、同じ木で鳴くようになるのは、やはり6月半ば過ぎである。そして、6月いっぱいがもっとも盛んに鳴く時期である。

 ホトトギスは声が大きいことと広い範囲を飛びまわることから、感覚的には、1羽でウグイス10羽分以上の活躍をしていると思えるほどである。

 鳴き終ってからの動きはつかみにくい。いったん鳴き止むと、地鳴きさえほとんどしない静かな鳥になってしまうからである。

 9月になると、いままでいなかった低い山にも多く出現しはじめるから、鳴き終ってしばらくすると、もう秋の渡りに入るらしい。それらは、近くで夏を送った鳥だけでなく、神戸より北の地方で繁殖した旅鳥的なものが多くまじっているはずであるから当然夏より多くなっている。初夏の渡りのときは鳴きながら来るのでよく目立つが、秋は鳴かないし、しかも樹木の繁った中で姿が見えにくいために、よほど注意深く観察しないと見つけるのはむずかしい。

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