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■5.訛りもあるウグイスのさえずり −寄生的繁殖者と犠牲者
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5.訛り(なまり)もあるウグイスのさえずり
ウグイスの名を有名にしたのは、日本全土に広く分布していることもあるが、やはりそのさえずりが、明瞭で他の鳥とはっきり区別できることなどである。小鳥の歌の中では単調な方で決して進んだ歌ではないが、それだけ覚えやすく、音色に特長があってすぐにそれとわかる。鳥に特別に関心を持たない人なら、ホオジロの歌もシジュウガラの歌もみな同じように聞こえるそうだが、ウグイスだけは区別がつく。しかし、そのさえずりをホーホケキョ一つで片づける場合が多い。注意して聞くと、個体によって少しずつくせがあって面白い。中には他のウグイスとはっきり区別のできるほど強いなまりをもったさえずりをするものがある。たびたび出かける六甲ではなじみになってしまう。「あいつはまだここに居るな」、「今年も同じ所に帰って来たな」と親しみがわいてくる。六甲山上でもそういうはっきり他と区別できるウグイスが毎年2〜3羽はあって、それぞれ名まえをつけてやることにした。
1羽のウグイスの歌でも、しばらく聞いていると2通りから4通りぐらい調子のちがう歌のあることに気がつく。
高い 「ホーホケキョ」、低い 「ホホホホケキョ」、その中間、だぶって 「ホーホケキョホケキョ」、半分だけだぶる「ホケキョケキョ」など多様である。
ちがう個体の歌を録音して、じつくり聞きくらべてみると興味はつきない。
「キョ・・・・・・・・ケッ、キョ、ケッ、キョ」とつづけて鳴くのは 「谷渡り」 「とび鳴き」などというが、興奮気味のときや警戒のときの鳴きかたである。
さえずりの主な目的は、テリトリーを仲間に告げることだが、隣りのテリトリーの個体と接したときには「谷渡り」で接する。トビやカラスが上空を通ったとき、ホトトギスが侵入して来たときや人が近づいたときなどは激しい「谷渡り」で対応する。
地鳴きはウグイスの場合、笹鳴きとも呼ばれている。「チャッ、チャッ」と低い声で、あの美しいさえずりからは想像もつかない。仲間同志の合図の声である。繁殖中の雌の警戒声は「チャ・・・・・・」を連続する。
雌は育雛期、巣の近くで、「キー、キー」と鳴くことがある。飼鳥家は 「虫鳴き」ともよんでいる。つぎにウグイスの育雛をみてみよう。
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