神戸の自然シリーズ6 神戸の野鳥観察記
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■6.ウグイスの繁殖習性 −寄生的繁殖者と犠牲者

6.ウグイスの繁殖習性

 神戸のウグイスの巣作りは、低い山では3月中旬からはじまり、六甲山では少し遅れた4月頃になるが5月中旬〜6月にかけて産卵するものが多く、8月に入ってもまだ卵の見つかる年がある。

 巣は笹やススキ、低木などの繁った中に作る。地上すれすれから2mほどの高さまでで、30〜80cmの高さに多い。巣の材料は外側にササやススキなどの枯葉を使い、内側はそれらの植物のひげ根や他の植物の根、せんいなどを用いるが、材料が粗雑なだけにこわれやすい。ふつうの小鳥の巣のような椀型でなく、縦長の球形で斜め上に出入口がある。外径は10〜20cm、出入口の直径は5〜7cm、産座の探さは5〜8cmである。

 卵は赤味の強いチョコレート色で、小鳥類には珍らしい色彩である。長径18mm、短径14mmほどで、重さは約1.5gグラムである。1巣の卵数は4〜6個である。13〜14日ほどで孵化し、12〜14日ほどの育雛日数で巣立ちする。抱卵、育雛は雌がかかりきりで、雄はほとんど巣に近づかない。一夫多妻の傾向があるというが、神戸ではその事実は未確認である。しかし、次の例はそれに近いものかと思われる。1977年7月20日、六甲山で発見した育雛期の巣では雄は1日に2回だけ巣に近づいて10分ほど鳴き、いくらかは雌の後を追ったが、それ以外のときはそこから150mほど離れた道路を隔てた別の林へ行って鳴いていた。どうやらそちらの方に関心が強く、別の繁殖過程の雌を所有している可能性が十分考えられた。地形の制約で巣を探すことはできなかった。

 巣に持って帰る餌を見ると圧倒的に多いのがいわゆるアオムシで、チョウやガの幼虫である。そのほかクモも多い。ガ、ハエ、小型のバッタ類、甲虫類もあるが植物性の食餌は見なかった。親鳥も同じようなものを食べていると考えられるが、冬になると植物質も摂り、ヘクソカズラヒサカキエノキの実などを食べるのを観察したし、熟したカキを食べることもある。


ウグイス スズメ目 ウグイス科
 雄雌ほほ同色で体の上面はオリーブ色がかった褐色で、灰白色の眉線がある。胸と腹は汚れたクリーム白色、風切羽は暗禍色で外縁は赤錆色がかったオリーブ褐色、尾も赤錆色をおびたオリーブ褐色である。嘴は暗褐灰色で下嘴の基部は淡い。虹彩は暗褐色、脚は灰色がかった淡褐色である。雌は雄にくらべて小型である。
 嘴峰 雄12〜13mm、雌11〜12mm、翼の長さ 雄65〜70mm、雌54〜55mm、 雄24〜26mm、雌21〜23mm、尾の長さ 雄65〜73mm、雌52〜59mm、開長平均 雄190mm、雌163mm、全長平均 雄140mm、雌130mm、体重平均 雄13.3g、雌10.5g。
 北海道から琉球まで広く分布する。神戸のウグイスは北海道、本州、四国、九州、対馬などと共通の亜種である。中国大陸、朝鮮半島にも分布する。

英語名 Bush Warbler
学 名 Cettia diphone (Kittlitz)

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