私達が[2−2]と名づけたグリッドでは困ったことが生じている。一つの骨を取り上げるためにそのまわりを掘る。するとまた大物が出てくる。そのまた周りを掘る。そんなふうにしてどんどん範囲が広がってどの骨も取りあげられなくなっている。
どこまでの範囲に骨は散ばっているのか、それを早急に確める必要があった。しかし、竹ぐしでの発掘作業は一日いっぱいどんなにがんばった所で、たいした広がりを見せるものではない。
骨のうずもれている範囲をみきわめるために逆に骨がない所を確認して、それをだんだんとちぢめていくことになった。シルト層をつらぬいて青粘土まで掘って、出なければもう骨はない。この作業は骨が出てこないと思える所だだから、つるはしを使う。だいいち少なくとも50cmは掘らねばならないから手ぐわでは間にあわない。
「しまった。やってしまった。」
「こりやいかん、もっと範囲をひろげにゃ」
12月10日、この発掘のボスである前田さんが大事なことを見つけた。も、つここには骨はないだろうと3メートルも離れた所を掘っていた。ところが、50cmの探さから骨が三つも出てきた。
つるはしは骨をくだいてしまった。さいわい、それ程大きくない骨片であったが骨が出る範囲は北へ北へとどんどん広がっていく。この発見で発掘が、そう簡単には終了しそうにもないことがはっきりしてきた。同時に象牙や頭骨の出てくる可能性も高くなってきたということでもあった。
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