神戸の自然シリーズ12 神戸の地層を読む1
  前ページへ 目次へ 次ページへ
−2火山灰を比較する

火山灰を比ペる

 大阪平野の第四紀層(大阪層群)には、多くの火山灰がはさまれていることは前に述べましたが、この火山灰をかたっぱしから分析し、研究している研究者に大阪市立大学の吉川周作さんがいます。吉川さんは、大阪層群中の火山灰層40数枚について、その地層のようす、鉱物の組み合せ、ガラスの屈折率や形などをくわしく調べて論文(11)にまとめています。

 吉川さんの資料と私たちの採取した火山灰の資料を比べてみることにします。

学園都市の西のはし、馬谷には
火山灰は見つからなかった。

工事進行とともに新しい地層があらわれる。
灰色の地層はヤギタフ


 ヤギタフは、肉眼で見た色や感しは「イエロータフ」といわれているものと似ています。イエロータフは、ガラスの屈折率は1.467〜1.502ですから、ヤギタフをほぼ一致します。しかし有色鉱物が非常に少ない点は、イエロータフとはまるでちがいます。ガラスが非常に多く有色鉱物が少ない火山灰で、黄色ぽいものは、とさがしてみると「福田タフ」「三ツ松タフ」があります。屈折率は、福田タフで1.500、三ツ松タフで1.497ですからほぼ一致します。

 フジタタフヤギタフと比べるとガラスの屈折率が大きく、1.506〜1.510となっています。吉川さんの研究の中でもこような値を示す火山灰は限られています。福田タフのすぐ上にあたるところにある「未命名タフ」(31)が色の感じも含めてよく似ているようです。

 ハシモトタフは、色は、グミノキタフ、サクラタフなどとよく似ており、屈折率の1.505〜1.509は、グミノキタフの1.506と一致しています。

 ここでは、ガラスの屈折率と色を中心に比べてみましたが、これからはどうも決定的なことは言えないようです。「少なくとも○○ではない」「○○かもしれない」との判断はできますから、もっと他の方法と重ねあわせて地層を対比してこそ確かな地層の対比ができることになるでしょう。

 たとえば、火山灰の化学成分での対比や、後でのべるフィツショントラック法火山灰の年代を決定するなどのことが考えられます。


火山灰の測定

大阪層群の内湾性(海成)粘土層と火山灰層の層序区分
(藤田・笠間1983を一部改変抜すい)
前ページへ 目次へ 次ページへ