神戸の自然シリーズ17 神戸の地層を読む2
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2.100万年前に上昇をはじめた六甲

地下の花こう岩における東あがりの変位が地層を変形させた


 ところで、この断層はいつごろ活動したのでしょうか。

 この断層でたちきられている大阪層群の地層は200万年前の明石累層のレキ層です。ですから断層は200万年前よりも後に動いたことは確実です。

 50万年前の高塚山の海でできた高塚山粘土層は断層の影響で傾いた明石累層の地層にぶつかるようにたまっています。高塚山断層より東には高塚山粘土層は分布していないのです。

 高塚山粘土層がたまったとき、すでに高塚山断層は活動していて東がわには海は進入しなかったということがわかります。

 すなわち、高塚山断層は明石累層の堆積後(160万年前)から高塚山部層の堆積前(50万年前)の間に活動したということになります。おおざっぱにいえば100万年前といえます。

 高塚山断層はこれを境にして東がわの土地が100mも上昇したためにできた断層です。東がわの土地というのは六甲山地につづく土地です。ほかの地域の調査からも六甲山地は100万年前ぐらいから上昇をはじめたと考えられていますが、この高塚山断層も六甲山地の上昇に一役かった断層といえそうです。

図46 高塚山断層の活動

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