新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
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23.ムカシトンボ Epiophlebia superstes
写真2-31.ムカシトンボ.京都市左京区.1995.5.27. 単独植物組織内産卵.(杉谷篤氏 撮影).


分布:生きた化石といわれ,世界的に有名な日本特産種のムカシトンボですが,北海道から九州までかなりふつうにみられます.川の源流域で,標高の高いところに生息しています.神戸には六甲山があり,条件は整っているようにみえるのですが,北区有馬町の非常に限られた場所にしか生息していません.しかも幼虫と産卵痕のみの確認で,成虫はまだ目撃されていません.

 過去の記録では,1930年に戸沢信義氏が鷲林寺および御影付近という記録地をあげています.これ以来記録がなかったのが,1996年に神戸市環境局の渓流調査で幼虫が発見されました.六甲山に本種がみられないことについて松本健嗣氏は,「花こう岩の急峻な地形では天然林の伐採により表土が谷間にあふれ環境が一変するのであろう.採集記録が1938年のいわゆる阪神大水害以前であることに注目したい.」と述べています.たしかに六甲山の河川源流においては,産卵のためのフキなどの植生が豊富なところはそれほど多くない感じがします.

生態:成虫は4月下旬より出現し,夏がくる前にはすがたがみられなくなります.幼虫は流れの石ころの下にへばりつくようにして生活しています.幼虫期間は5〜8年という報告があります.羽化の1ヶ月くらい前になると幼虫は水からあがり,陸上で生活します.成虫は水辺のフキやジャゴケなどに卵を産みつけます.

形態:腹長36〜40mm.胴体は不均翅類のサナエトンボのようで,翅は均翅類のような,中間的な形態をしています.

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