新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
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65.ベッコウトンボ Libellula angelina
写真2-81.ベッコウトンボ.西区櫨谷町.1992.5.1. 縄張り争いをする2頭のオス.


分布:環境庁が1989年に作成した日本版レッドデータブックで最高ランクの絶滅危惧種に指定され,さらに1993年に施行された種の保存法によって種指定を受けて,一切の採集等が禁止されました.神戸では,西区櫨谷町に1カ所だけ産地がありましたが,1995年の目撃を最後にすがたを消しています.宝塚昆虫館の標本目録には,1936年5月に西宮市鳴尾で採集されたメスの標本があり,宝塚市史には1978〜79年の調査で波豆付近にいたとの記載があります.ずっと以前には神戸の東方にもいたかもしれません.

生態:幼虫は,ヨシマコモが茂り,浅い,植物の沈積物のたい積した有機泥の底質のところに生息しています.非常に環境選択の幅がせまいといわれており,神戸の生息地でも発生池はただ一つです.神戸では成虫は4月中下旬に短期間でほとんどが羽化してしまいます.成熟するまでの期間は羽化した池の周辺の草地などで過ごし,7〜10日ほどで成熟し水辺に戻ります.例年,成虫の出現ピークはゴールデンウィークあたりになります.オスは枯れたヨシの茎などの先端に止まってメスの飛来を待ち,メスがやってくるとつかまえて連結,交尾にいたります.交尾は飛びながら数〜数十秒であっけなく終わってしまいます.その後メスは適当な場所をみつけて打水産卵をおこないます.その際オスはメスの上空を飛び,他のオスにメスをとられないように警護します.6月下旬ころには成虫はすがたを消します.卵は2週間ほどで孵化し,その後幼虫は脱皮を12回繰り返して秋には終齢幼虫になりそのまま冬を越すという,一年一化の生活史を送っています.

形態:腹長23〜28mm.成虫は翅にある独特のもようで他種とみまちがうことはありません.オスは未熟なうちはメスと同じような色彩をしていますが,成熟すると黒化します.

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