新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
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15.コバネアオイトトンボ Lestes japonicus
写真2-22.コバネアオイトトンボ.美嚢郡吉川町.1997.10.7. 単独植物組織内産卵


分布:かなり数が少なく,そのすがたをみることが難しいトンボです.西区のため池を中心に分布しています.記録は,西区押部谷町,玉津町,櫨谷町,伊川谷町,長田区鹿松町などです.このほかに関西トンボ談話会(1984)では鈴蘭台〜藍那の近辺にプロットが落ちていますが場所は不明です.

 本種は櫨谷町の池には多産していましたが,兵庫県南部地震で池が崩壊し乾燥化して,数がいちじるしく少なくなりました.他の産地はいずれも1〜2頭の採集記録で,もはや神戸で,本種を毎年確実にみることのできる池はなくなってしまったように感じます.

生態:一説によると,このトンボの産卵管がかたい植物の茎には産卵できないような構造であるとされ,それが生息できる池を限定しているといわれています.松本健嗣氏も,「コバネアオイトトンボは洪積台地の遠浅の池に産し,特定の水生草本,当地では私の知る限りではカヤツリグサ科のカンガレイの茎にのみ卵を産付するめずらしい種類である.」と記しています.筆者はクログワイにも産卵するのをみています.7月下旬には羽化をしており,10月いっぱいまでみられます.ふつう連結植物組織内産卵をおこないます.写真の単独産卵は例外的なものです.

形態:腹長26〜33mm.他のアオイトトンボより,からだの長さと比較して,翅がやや短い感じがします.成熟すると,複眼が青くなり,オスは胸の横もややコバルトがかった色彩になってひじょうに美しくなります.本種は成熟しても,胸部に粉をふくことはありません.

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