新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
  前ページへ 目次へ 次ページへ

1-1-2.六甲山地

 六甲山はなんといっても神戸でもっとも標高の高い場所で,そこでみられるトンボはすずしいところを好むものが多いのが特徴です.水源が山の高いところにあり,国立公園内でもあるので水質は清浄です.六甲山は花こう岩でできていますが,世界的にも有名なほど風化が進んでいて,その岩質はもろくなっています.河川の上流域の底質は不安定で,植生も貧弱です.浸食作用も起きやすく,水害,山崩れも過去に大きなものが記録されています.川は一気に山を下る急流が多く,その途中のあちこちに渓流域をつくりだしています.また防災のためにつくられた数多くの砂防ダムには,砂がたまって,いまやほどよい池や湿地となり,トンボをよびよせています.

写真1-3.東灘区本山町の渓流の水がたまった小池. 写真1-4.摩耶山町にある自然観察園内のあじさい池.

 各河川の渓流部分には,ニシカワトンボミヤマカワトンボダビドサナエヤマサナエミルンヤンマコシボソヤンマコオニヤンマなどの流水性種が,またダムにできた水辺には,シオヤトンボオオシオカラトンボなどの湿地性種のほか,タカネトンボオオルリボシヤンマタベサナエなどの池沼性の種がみられます.また植物園などにつくられた池や湿地では,ルリボシヤンマオオルリボシヤンマオオアオイトトンボタカネトンボなどが集まってきています.ハイキングコースなどに沿った細流にはオニヤンマが飛び交い,ところどころにできた湧水による水たまりには,ヤブヤンマがひっそりとくらしています.盛夏には,避暑地として,たくさんのアキアカネがそこかしこに止まって,涼をとっています.ただ一つ不思議なことに,兵庫県下の山々の源流域にきわめてふつうにみられる,ヒメクロサナエムカシトンボがごく限られたところにしかいません.
前ページへ 目次へ 次ページへ